土浦二高吹奏楽部 第 11 回定期演奏会

[googlemap lat=”35.981737″ lng=”140.155135″ width=”300px” height=”300px” zoom=”16″ type=”G_NORMAL_MAP”]茨城県牛久市柏田町1606−1[/googlemap]

「十年間」というたったの 3 シラブルの言葉を発するのは一瞬ですが、十年間にどれだけのことがわが身に降り注いで、そしてどれだけの後輩が母校に入り、去って行ったことでしょうか。思い出の場所に帰ってきたはずなのに、僕の中のノスタルジーはなかなか解消されずにいました。

10 年半ぶりに入った牛久市中央生涯学習センター文化ホール。1998 年盛夏、僕らはここでコンクールに出場しました。その会場の客席に座って、演奏会のプログラムを眺めてみるけれども、なんだかうまく背中が背もたれにつかないような気がして、あたりをきょろきょろと眺めていました。

牛久市中央生涯学習センターの入り口。
牛久市中央生涯学習センターの入り口。

懐かしい顔ぶれを見つけました。皆さん驚くほど当時のままでいらっしゃって、安心しました。それにひきかえ僕はといえば、もしもあの頃のままでそこに座っていたら、間違いなくみんなの鼻つまみ者だったことでしょう。僕の周りの皆さんは、高校時代から人ができていたということですね。だからこそ、僕みたいな問題児がいても、なんとかなったのだと思います。

最初の曲は組曲『宇宙戦艦ヤマト』でした。僕も大学のころに演奏した曲なので、よく覚えています。NHK の番組「クインテット」でおなじみのアキラさんの愛が詰まったスコアは、一筋縄では演奏できません。さぞかし苦戦されたことでしょう。サックスの後輩たちといろいろお話したいことはあったのですが、世代が離れすぎてしまってもはや後輩と呼ぶよりも赤の他人と呼ぶにふさわしい方々ばかりだということに気付きました。

大ホール内部の様子。
大ホール内部の様子。

そういえば、パーカッションの楽器類もほとんど買い換えられているし、昔はなかったコントラバスもいつの間にか 3 台になっているし、顧問の先生も違うし定期演奏会の会場も違うし、人数なんて僕らの時代の 3 倍近くいるじゃありませんか。考えれば考えるほど、他人のバンドのように思われてきました。

ところが、制服が変わらないからでしょうか、見慣れてくるとステージ上の現役生が、僕らと同世代の誰かとそっくりに思えてきました。たとえばトランペットのメガネさんは Y 先輩のようだし、コントラバスの 2 年生は M さんのようだし、ドラムのメガネさんは K さんそっくりだし…見間違えの対象は部員外にも及びましたが、なんだかんだいってやはり縁のある人々のように思えてきました。

観客によるアンコールの最中。
観客によるアンコールの最中。

そして決定的だったのが、プログラム終了後の顧問の阿久津先生とピッコロの方(この方も僕と同じ土浦五中の出身のようです)のやり取り。

先生「最後にですね、このバンドでいつもアンコールで行っております…」
ピッコロ「星条旗よ永遠なれ(笑)」
先生「…をお送りします。」

いまだにこの曲がアンコールになっているとは思いませんでした。あれから 10 年たって、当時のような無邪気な気持ちでこの曲に接することはできなくなってしまいましたが、こういうちょっとしたことが脈々と受け継がれている様子を見て、やっぱり後輩なんだなと、認識をあらたにすることができました。

吹奏楽部の練習部屋。昔から変わらず視聴覚室。
吹奏楽部の練習部屋。昔から変わらず視聴覚室。

夜になって、10 年ぶりに吹奏楽部の練習部屋にお邪魔しました。僕が毎朝座っていた準備室の椅子は、顧問の先生の椅子になっていました。思い出の机はそのままの場所にありました。僕が置いていった ALBA の壁掛け時計は当時と同じ場所で動いていました。僕が壊した指揮者用の譜面台はまだ現役でした。僕の代が卒業記念に置いて行ったメトロノームは、埃をかぶってはいましたが、まだ何とか動いているようでした。

思い出はやさしく感じられるからかもしれませんが、高校時代は夢のような時間を過ごさせていただいたと感謝しています。何かの間違いでこのブログにたどり着いてしまった現役の二高生の方がもしもいらっしゃいましたら、二度と帰ってこない高校生活の思い出をづくりを大切になさってください。人は良くも悪くもない 1 割の思い出と、3 割の悪い思い出、そして 6 割の良い思い出を抱えて生きていくものだとか。きっとあなたの 6 割にも、高校時代のエピソードが満たされてゆくでしょうから。


投稿日

カテゴリー:

,

投稿者:

コメント

“土浦二高吹奏楽部 第 11 回定期演奏会” への4件のフィードバック

  1. むらじ。のアバター
    むらじ。

    こんばんは!
    恐縮ですが:コメントさせていただきます!

    土浦2高吹奏楽1年の者です。
    定期演奏会の模様が気になり、
    何気なくヤフー(≠ヤホー@ナイツ)で検索をかけた所、たどり着きました。(笑)
    良くも悪くもない 1 割の思い出と、3 割の悪い思い出、
    そして 6 割の良い思い出・・・。
    私も、この一日一日の日々を
    大切に、かつ大胆に過ごして行きます★!!

    貴重なスペース失礼しました。

  2. 工藤 慎介のアバター
    工藤 慎介

    むらじさん、はじめまして。
    現役生のお話を聞けて嬉しいです。
    今になって、高校時代にはもっと写真を撮っておけばよかったと、後悔しています。
    今は携帯電話のカメラなどもあるので、ぜひ多くの画面を残してくださいね。
    書き込みを頂いてありがとうございました。

  3. じゅんじゅんのアバター
    じゅんじゅん

    工藤さん、はじめまして。
    現役にこすい(二高吹奏楽部)2年男子です。コメント失礼します。

    あなたのブログを拝見して、「今」という時間が人生においてどれほど貴重なものなのかということを再認識させられました。
    良くも悪くもない1割の思い出も、3割の悪い思い出も、6割の良い思い出もたった一度きりの高校生活における大切な「ひととき」とできるように、残りの半年を毎日笑顔で過ごしていきたいと思いました。
    そのためにも自分の目の前にある「今」を丁寧に生きていきたいと思います。

    ちなみに今のにこすいは「ロコモーション」という曲をアンコールとして演奏しています。今度の4月3日に市民会館で行われる定期演奏会にもぜひいらしてみてください。
    貴重なお時間を割いて最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

    P.S. 写真のALBAの壁掛け時計、未だに現役でその写真でいう道明寺のところで動いていますよ。笑

    1. 工藤 慎介のアバター
      工藤 慎介

      じゅんじゅんさん、はじめまして。
      古い記事にコメントがついたので驚きましたが、ありがとうございます。
      そして、この記事を書いてからもう7年も経つのかと、あらためて驚いております。

      目の前にある「今」を丁寧に生きるということは、とても大切なことだと思います。過去は変えられませんが、未来は自分の力で変える余地があります。どうか悔いのない高校生活を送られますよう。
      ロコモーション、いい曲ですね。4月3日はぜひうかがいたいです。壁時計はなかなかしぶといですね。あれは僕が小学生のころに、僕と兄の子供部屋用に親が大黒屋で買ってきたものだったはずです。もう30年近く動いているのではないでしょうか。

      P.S. 僕自身は、高校2年生のころは数学ⅠAと古文をもう少しまじめに勉強しておくべきでした。じゅんじゅんさんは受験勉強にもきちんとはげんで下さい(笑)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です