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日記

Finale と Finale NotePad

2009-04-16-01ここ数日、Finale を使って納品する仕事が立て込みました。今年の 1 月に Finale 2009 を導入して以来、不思議とそれを使う仕事が来なかったのですが、重なるときには重なるものですね。相変わらず不安定なソフトで、強制終了を喰らったのは一度や二度ではありませんでしたが、それでも Finale 2002 のころと比べれば大分マシになったでしょうか。

さて、それらの仕事の中に、ひとつ気になる仕事がありました。それは「Finale NotePad 2008 で読み込めるように作ること」という仕事。Finale NotePad というのは、Finale の簡易版です。Finale で作った楽譜の簡単な修正と、単純な音符の入力ぐらいしかできませんが、無償で提供されているソフトウェアでした。

なぜ Finale NotePad で読み込めるように作るかというと、クライアント側でパート譜を作成したり、間違いを修正したりできるからです。僕みたいな人間がフルスコアのみならずパート譜まで作成すると、その分費用がかかります。Finale NotePad で読み込めればパート譜を自力で作成できますから、費用を削減できます。また、どんなに気をつけて譜面を作っても、ミスを完全に追放することは、通常ほとんど不可能です。納品後に発覚したミスを、クライアント側である程度修正できるわけです。

Finale NotePad 2008現在、Finale の最新版は 2009 になります。NotePad の最新版も英語版は 2009 ですが、2008 で読み込めるようにと指示がありました。Finale はバージョンが変わるたびにファイル形式が変わります。より新しいバージョンではより古いバージョンのファイルを読み込むことができますが、その逆はできません。Final NotePad 2008 で読み込めるようにするためには、わざわざ旧式の Finale 2008 で楽譜を作成しなければなりません。

早く日本語版の Finale NotePad 2009 をリリースしてもらいたいのですが、ここに一つ厄介な問題が浮上してきました。なんと Finale NotePad はバージョン 2009 以降、有償化されるというのです。今回 2008 で注文が来たのは、2009 の日本語版がなかっただけだと信じたいのですが、もしかするとこの先、有償化された Finale NotePad 2009 を購入することを嫌って、ずっと 2008 での納品をクライアントに要求され続けるかもしれません。

Finale はバージョンアップされるたびに妙なバグが増える困ったソフトウェアなのですが、バグにさえ気をつければ(基本的に、多くの人の目にあまり触れないような機能を「おっ、こんな便利機能があったんだ!」と言って使うと大惨事になる)作業スピード自体はバージョンが進むにつれ少しずつ向上してきていることも確かです。

Finale NotePad 2009 の英語版は 9.95 ドル。代理店のイー・フロンティアによる日本語版の価格は、Finale の英語版が 600 ドルなのに対して 66,150 円。姉妹品 Finale Allegro が英語版 199.95 ドルに対して 31,500 円。当たり前ですが、元が安いソフトウェアほど、ローカライズにかかる費用の上乗せが激しくなります。はたして Finale NotePad は英語版のように安い価格設定にできるのでしょうか。9.95 ドル程度なら、「Finale 2009 で作業させてくれれば、楽譜の値段を 9.95 ドル割引しますよ 😉 」と言えるのですが、うっかり 5,000 円ぐらいになると、そこまでの差を楽譜の価格につけられるかどうか…。

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Finale 2008

右クリックをしてもコンテキストメニューが表示されない

Finale 2008 をマルチ・モニタ環境下におけるプライマリ・ディスプレイ以外のモニタで動作させていると、右クリックで表示されるコンテキストメニューが表示されなくなります。

Finale をプライマリ・ディスプレイで使用すればこの問題は発生しません。

どうしてもプライマリ・ディスプレイ以外のモニタでコンテキスト・メニューを使用したい場合は、アプリケーションキーを押せばメニューが表示されます。ただし事前に左クリックを使用して、コンテキストメニューを表示させたい項目を選択状態にしておかなければならず、不便です。

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Finale 2008

垂直方向の衝突の回避

英語名:Vertical Collision Remover

「垂直方向の衝突の回避」プラグインは、Finale 2007 の発売とともに発表された、MakeMusic 社製のプラグインです。あちこちに不具合を抱えたままリリースされていて、予想外の動作をすることが多く、扱いづらいプラグインです。

いっぽう、不具合を承知して上手に扱うことができれば、Finale 屈指の便利なツールとなります。私の知る限りの不具合情報と、その対策について、少しずつまとめていくつもりですので、困ったときにご覧いただけましたら幸いです。

プラグインのバグ

発想記号の非表示属性を感知しない問題

非表示と設定された発想記号であっても、スペースが確保される
図 1 非表示と設定された発想記号であっても、スペースが確保される

図 1 のように、発想記号が非表示となっている場合でも、非表示となっていない場合と同じように垂直位置を調節してしまいます。この問題のスマートな回避方法はありません。最初からこのようなデータを作らないように気をつけるしかありません。小節発想記号であっても、問題は同様です。

なぜスペースがこんなにあいてしまうのか、わかりにくい例
図 2 なぜスペースがこんなにあいてしまうのか、わかりにくい例

音符発想記号で、さらに元の音符が非表示になっている場合にも、この問題が発生します。例えば図 2 のケース。何が起こっているのか一見わかりませんが、非表示になっている音符に発想記号がついていて、その分のスペースを確保してしまっています。

非表示の音符に付属している発想記号はまったく表示されませんので、注意しないと見逃してしまいます。

繰り返し記号との相性

繰り返し表記のある場合に、そのままこのプラグインを適用すると、うまく垂直位置を調節できなくなる場合があります(図 1 参照)。どうやらこのプラグインは、繰り返し記号によって音符が隠れている場合でも、そこにト音記号で表記された楽譜があるものと仮定して、位置調整を行ってしまうようです(図 2 参照)。

そこで、パーカッション・マップと楽譜スタイルの設定を使用して、常に符頭が五線の中央に配置されるようにし、さらに符尾を表示しないようにして、この問題を回避します。以下に手順を示します。

  1. 「五線ツール」を選択します
  2. 「五線」メニューから「楽譜スタイルの定義」を選択し、「楽譜スタイル」ダイアログボックスを表示します
  3. 「使用可能なスタイル」から「08. 2小節の繰り返し表記」を選択します
  4. 「記譜スタイル」プルダウンメニューから「パーカッション」を選択します
  5. 「記譜スタイル」プルダウンメニューのすぐ右側にある「選択」ボタンを押し、「パーカッション・マップの選択」ダイアログボックスを表示します
  6. 「作成」ボタンを押し、「パーカッション・マップ作成」ダイアログボックスを開きます