カテゴリー
エッセイ

日立のおばあちゃん①

僕の母方の祖母は、僕が中学三年生の頃に亡くなりました。

母の実家は、長い坂道を登りきったところに建っていました。家の南西側にある駐車場と母屋との高低差は 10m 近くあり、車を降りたあと長い階段を登らねばなりませんでした。玄関は東側にあるのですが、駐車場から遠いので、僕たちは母屋の南側にある縁側から出入りしていましたし、祖母の家族もみなそのようにしていたようでした。

雨よけと下駄箱が用意されて、玄関さながらになっているその縁側から家に上がり、四畳ほどの小部屋を抜けると、その奥に六畳の和室がありました。祖母はいつもその部屋にある掘りごたつに座って、僕たちを出迎えてくれました。

僕の祖母には脚が一本ありませんでした。僕が生まれた頃、祖母が路線バスに乗ろうとしたところ、運転手さんが私の祖母に気づかずドアを閉めてしまい、バスの外に投げ出されたところでそのバスが発進し、祖母の脚を轢きつぶしてしまったそうです。

その運転手さんがその後どうなったのか、僕はよく覚えていませんが、祖母は警察からの事情聴取に応じた際に、運転手さんの事を赦すと伝えたのだそうです。祖母はそういう人でした。

つづくでしょう。

コメントを残す