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はじめに4声体を書く

作曲・編曲には、人それぞれにさまざまなやり方があると思います。僕は4声体を書くところから始めるようにしています。もちろん、曲の内容や納期によってはこの作業をはぶく必要も出てくるのですが、極力おこなうようにしています。

これはつまり、CD や楽譜・頭の中で、具体的に完成された音楽を、いったん抽象化するということです。編曲の依頼者からオリジナルの楽譜を用意されている場合にでも、やっています。編曲という具体化作業の設計図を、きちんとつくるためです。

この作業は必ずしも必要な作業ではなく、スコアにいきなり音符を書き込んでいく人もいます。つまり余分な時間を取られる作業なのですが、僕はやることにしています。こうすることで、編曲のはばや自由度がむしろ広がっていくからです。

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編曲

安益泰『愛国歌』[金管五重奏]

[audio:http://www.shinsuke.com/wp-content/uploads/2009/09/Aegukga-An-Iktae-Brass-Quintet-2009-09-17a.mp3]
曲名
Title
愛国歌
Aegukga
作曲
Composer
安益泰
An Iktae
形態
Instrumentation
金管五重奏
Brass Quintet
編成
C/O
Bb トランペット 2 本、ホルン、トロンボーン、チューバ
2 Bb Trumpets, Horn, Trombone, Tuba
演奏時間
Duration
1:10~4:00
難易度 3/5
pdf 版単価 非売品
Not For Sale
ダウンロード 安益泰『愛国歌』[金管五重奏]音源 2009-09-17a 版(演奏:森合ブラス)

依頼を受けて編曲しました。今のところ著作権保護期間が続いていますので、販売することはできません。非営利目的での演奏のみ韓国音楽著作権協会から使用が許可されている模様ですので、音源だけアップロードしておきます。保護期間が終了するのは 2015 年の予定です。

明快な前奏付きの二部構成の曲です。歌詞は 4 番まで用意されているようですので、必要に応じて 4 回までリピートして使用してください。

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編曲

『展覧会の絵』より「プロムナード」

夕空。でも僕がこの曲を聴いてイメージするのは、もっとオレンジ色の夕空なんです。いい写真が見つかりませんでした。
夕空。でも僕がこの曲を聴いてイメージするのは、もっとオレンジ色の夕空なんです。いい写真が見つかりませんでした。2009-07-13 撮影。
[audio:http://www.shinsuke.com/wp-content/uploads/2009/07/promnade-2009-07-16-a.mp3]

この曲を聴くと、夕空の暗い杉の森を抜けた先にたたずむ、白い二階建ての洋館をいつも思い出します。茶色の木の重く大きな扉の、真鍮製のノブに手をかけて中に入ると、夕陽が差し込む部屋の奥に一枚の大きな油絵がかけられています。いったいどうしてこんなイメージがわいてくるのかよくわかりません。幼いころに観た「名曲アルバム」か何かの影響なのかもしれません(そういうシーンありそうでしょう?)。

クラシック音楽は、言わずと知れた西洋の、とりわけフランス・ドイツ・オーストリアの音楽です。しかし不思議なことに、たとえばベートーベンの『第九』を聴いて、僕らが異国情緒を感じるか、と言われれば、そんなことはないような気がしませんか。クラシック音楽が最盛期を迎えた頃―――つまり、江戸時代の日本の長唄や箏曲などよりも、僕たちはクラシック音楽に慣れ親しんでおり、200 年以上前の音楽であるとか、バッハと徳川吉宗が同い年だとか、日本から 1 万キロ離れた土地の音楽だとか…そういった時間や場所の問題から超越した存在として、クラシック音楽に普段触れているとは思いませんか。

しかしこの『展覧会の絵』という組曲は、僕にとって時間や場所を超越した存在であったはずのクラシック音楽というものが、やはり異国の音楽なんだということを再認識させてくれる数少ない曲なのです。いったい何がそうさせるのか…ムソルグスキーがロシア人だからでしょうか。いや、そのことを知る前から、この曲には特別な情緒を感じていたはずです。音楽についてそれなりに学んだ今、こうしてこの曲に向き合ってみると、この独特の変拍子と素朴なメロディーが、のびのびとした牧歌的な印象を与つつ、同時に和音の進行は不釣り合いにたそがれた厳かさを演出しており、この二つがミックスされて…う~ん難しい。

今回、依頼を受けてこの曲を金管十重奏に編曲しました。もうお聴きになってらっしゃる方も多いと思いますが、この記事の最初にある、灰色の再生ボタンをクリックしていただくと、演奏が始まります。演奏はおなじみの森合ブラス 😉 です。

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日記

分厚いスコアなんて

この日食べた、久月のあんみつ。僕が彼女に買ってきた土浦のお土産です。
この日食べた、久月のあんみつ。僕が彼女に買ってきた土浦のお土産です。

今度取り掛かる仕事は、クラシカルな編曲作業です。曲名は伏せなければなりませんが、原曲は 2 時間 30 分にも及ぶ大作です。依頼主からスコアをお預かりしましたが、このハードカバーのスコアは A4 ファイルサイズで重量約 1 kg・厚さ約 4 cm という代物でした。

このスコアは依頼主もお知り合いからお借りしているものらしく、扱いには細心の注意を払うよう、念を押されました。もはや入手も困難なこのスコア、eBay で 1,200 $(約 12 万円)の値がついています。ひぇぇ。

そもそも僕の書見台には乗りきらず、コーヒーでもこぼしたら大惨事ですから机の上に広げることもできず、仕方がないので 1 ページずつスキャンしようと思って本を開き、さかさまにすると「バリバリバリバリッ!」自重に耐えることができないのか、本をひっくり返そうとするたびに製本部分が悲鳴を上げます。

もうどうしたらいいのかわかりません。とりあえずデジカメで撮影でもして、その画像を見ながら作業をしましょうか。なんて事をやっているうちに、この日は一日が終了してしまったのでした。なんてこったい。

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日記

変わった編成に対する編曲

編曲中に路頭に迷うと、無残な姿をさらすことになりかねません。こちらは路頭に迷ってしまった図。バイパス建設はドライバーにはうれしいのですが、ドライブインにとっては致命傷になりかねません
編曲中に路頭に迷うと、無残な姿をさらすことになりかねません。こちらは路頭に迷ってしまった図。バイパス建設はドライバーにはうれしいのですが、ドライブインにとっては致命傷になりかねません(2008-10-15、土湯峠にて)

困った注文なのですが、だからこそ案外多いのが「普通でない編成」の編曲。今回は Fl 2 本、Tp 2 本、Sax 2 本、パーカッション 2 人という編成でした。まともに立ち向かおうとすると路頭に迷うので、以下のような手順で編曲しました。

  1. まず、Bb クラリネット四重奏に編曲する
  2. それを管楽器六重奏に編曲する
  3. 最後にパーカッションを足す

常識と言えば常識なんですが、まずは四声に曲を分解して、そこからまた組み立てなおしたということです。普通でない編成の場合はたいていこうしています。編成にとってはベストな編曲方法ではないかもしれませんが、いったんクラリネット四重奏に編曲してしまえば、あとはあらゆる編成に編曲できます。

プロダクティビティとクオリティの両立を図るには、ベストな方法だと思います。

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日記

耳コピー

スペクトラム画像
スペクトラム画像

編曲の締切が 2 件と、家庭教師が 3 件あるキツイ日でした。全部終わったのは午前 5 時ごろ、翌日に響かないか心配しました。

編曲をするときには、楽譜があると便利です。できれば自分が編曲するものよりも大きな編成の楽譜があると、編曲の第一段階目の仕事がやりやすくなります。しかし楽譜が市販されていなかったり、作曲者自身が提供してくれなかったり(多忙・なくした等)する場合には、耳で聴いて判断するしかありません。それでもどうしてもわからない時には、右の写真のように周波数の解析を行って曲を分析します。これはなかなか骨が折れます。時間がないときは、想像で済ますこともありますが(笑)。

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日記

やっとのことで

先月、仙台駅にて。皆さんこの看板を見て、西口に行こうと思ったら直進しますか?それとも右に曲がりますか?僕は右に曲がりました、残念
先月、仙台駅にて。皆さんこの看板を見て、西口に行こうと思ったら直進しますか?それとも右に曲がりますか?僕は右に曲がりました、残念(2008-09-14 撮影)

コーデックの比較はようやく佳境に入ってきました。今日は 10 dB の差が何を意味するか、という根本的な問題につまずきましたが、いろいろ文献にあたって解決して、やっと書き終えることができそうです。長かった。

編曲疲れも癒えたことだし、さっさと書き終えて編曲作業に戻りますよっ 😎

今日も中学生にお勉強を教えてきました。長州藩の維新志士は、長いというだけあって木も高過ぎ(木戸孝允と高杉晋作)ですね。みんな「允」が書けません、注意が必要です。さぁテスト頑張ってくださいね!