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感想

『ゲド戦記』(映画)

先日のテレビ放送を録画しておいてもらったものがあったので、初めて観ました。この映画のテーマは現代人そのものだと思います。いきなり映画冒頭で父親を殺害する主人公の少年、しかも「なぜ殺したのかわからないんだ」というあいまいなセリフをぼそぼそつぶやく。他人を殺した人物が、殺害直後に「死んだ、死んだ、かわいそう~」と歌う。

明るいシーンはまったくと言っていいほどありません。主要人物はみな暗い影を引きずっています。とりわけ鬱屈している主人公は、しばしば錯乱を起こします。その理由も映画の終了間際まで全く明かされませんし、ついに最後まで解明はしません。そんな人物たちとは対照的に、世界の描写や音楽はあまりにも美しくて充実していたのが印象的でした。台詞がなく、歌だけとか、心象風景の展開だけで、映画の進行が示されるシーンもありました。

この映画を観て楽しめるか否かは、主人公に感情移入できるか否かにあると思います。人生経験の種類によって、この映画に共感したり、できなかったりするのでしょう。

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