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Finale 2008

「警告の臨時記号」プラグインのバグ

「警告の臨時記号」は便利なプラグインですが、バグがあるので注意が必要です。うっかり使うと、まき散らされてしまった不要な臨時記号を削除するために、丸一日費やすはめに遭いかねません。

譜例 1

[audio:http://www.shinsuke.com/wp-content/uploads/2008/10/p1300-01.mp3]

上が今回の譜例です。2 小節目の 1 拍目で II♭7 がドミナントを代理し、それを気に変二長調に転調後、IV を経てイ長調 II7、IVm をハ長調の II7 と読み換えて V7、I と帰ってきます。記譜のルールに従えば、3 小節目の管楽器には臨時記号は必要ありません。しかし、こういう展開が繰り返されるような状況では、ぜひ 3 小節目に思いやりの臨時記号が欲しいところです。そこで、以下のような設定で臨時記号を適用してみます。

警告の臨時記号

上記は Finale をインストールした直後の、デフォルトの設定と同じです。この設定で OK を押すと、譜面の 2~3 小節目が以下のようになります。

警告の臨時記号を適用後

「括弧付き」にチェックを入れていないにもかかわらず、2 段目のホルンと 3 段目のトランペットの、本来カッコ書きにしてはならない 2 小節目(上の画像の左側の小節)の臨時記号がカッコ書きになってしまっています。これが「警告の臨時記号」プラグインのバグです。

回避するためには、「オプション・ツールバー」の「移調楽器を実音で表示」ボタンを押すか、Finale のメニューバーから「書類」→「移調楽器を実音で表示」 を選ぶか、どちらかを行って実音表示にしたうえでプラグインを適用します。

間違えてかけてしまいバグが発生した場合、TGTools Pro の臨時記号プラグインを使って修正できるのですが、Finale 2008 日本語版には TGTools Pro がうまくインストールできないので、修正しづらいです。

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装飾音符の発音タイミングを修正したい

譜例

譜例のようにゆったりとしたテンポの曲の場合、Finale の Human Playback による装飾音符の演奏が曲にうまくなじまない場合があります。このまま演奏させると、このようになります。

[audio:http://www.shinsuke.com/wp-content/uploads/2008/10/p1374-01.mp3]

「MIDIツール」を使って発音タイミングを調節してやると、うまく再生できるようになります。

調節のやりかた

Finale の装飾音符は、初期設定では 128 EDUs に設定されています。EDUs というのは ENIGMA Durational Units の略で、1,024 を四分音符とする音の長さの単位ですから、128 EDUs は 32 分音符相当ということになります。この設定自体を変えるのも一つの手です。「書類」メニューの「プレイバックとレコーディングの設定」メニューを選べば、同名のダイアログボックスが表示され、そこに装飾音符の音価を入力する欄があります。

しかし、装飾音符ごとに長さを調節したい場合もあります。Finale は前打音をすべて親音の拍前に出してしまうので、短前打音などを親音の拍内に入れたい場合などがそうです。そういう場合のために、音符ごとに調節する方法を知っておくと便利です。

まずは MIDI ツールでの変更を Human Playback に反映させるために、設定を変更します。「Human Playbackの初期設定」ダイアログボックス(プレイバックコントローラーの 「プレイバック設定」ボタン を押し、「プレイバック設定」ダイアログボックスの「HP初期設定」ボタンを押す)の「MIDIデータ」を選択し、「音の始まり/終わり」のプルダウンメニューで「既存の情報を加味」に設定しておきます。

つづいて「MIDIツール」を選択し、目的の音符のある五線をダブルクリックし、目的の装飾音符のマーカーをダブルクリックします。「MIDI ノート編集」ダイアログボックスが開きますので、「音の始まり」テキストボックスに数値を入力していきます。

ここで入力する数値の単位は EDUs で、前述の「プレイバックとレコーディングの設定」ダイアログボックスで設定されている、装飾音符の初期設定と同じ単位です。たとえば -128 と入力すると、128 EDUs 前に出すという意味になります。この際、初期設定の EDUs に加算されるわけではなく、親音から見て 128 EDUs 前に演奏される形になります。

以上を踏まえれば、ここで装飾音符を本来の親音の発音タイミングで発音させたい場合は 0 を入力すれば理屈にあうのですが、-1、0、1 の 3 つの数値は入力しておいても Human Playback に無視されます。有効な数字は絶対値が 2 以上のものだけですので、-2 か 2 を選ぶしかありません。ただし、2 EDUs という長さは 64 分音符の 32 分の 1 の長さしかありませんから、実際にずれているように感じることはないはずです。

前打音の「音の始まり」に 2 EDUs などを入力すると、前打音と親音が同時に発音することになってしまいます。親音の「音の始まり」にも適当な数値を入力して、後ろにずらします。

完成するとこのようになります。お疲れさまでした。

[audio:http://www.shinsuke.com/wp-content/uploads/2008/10/p1374-02.mp3]
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Human Playback

Finale の Human Playback に関するページです。

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右クリックをしてもコンテキストメニューが表示されない

Finale 2008 をマルチ・モニタ環境下におけるプライマリ・ディスプレイ以外のモニタで動作させていると、右クリックで表示されるコンテキストメニューが表示されなくなります。

Finale をプライマリ・ディスプレイで使用すればこの問題は発生しません。

どうしてもプライマリ・ディスプレイ以外のモニタでコンテキスト・メニューを使用したい場合は、アプリケーションキーを押せばメニューが表示されます。ただし事前に左クリックを使用して、コンテキストメニューを表示させたい項目を選択状態にしておかなければならず、不便です。

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垂直方向の衝突の回避

英語名:Vertical Collision Remover

「垂直方向の衝突の回避」プラグインは、Finale 2007 の発売とともに発表された、MakeMusic 社製のプラグインです。あちこちに不具合を抱えたままリリースされていて、予想外の動作をすることが多く、扱いづらいプラグインです。

いっぽう、不具合を承知して上手に扱うことができれば、Finale 屈指の便利なツールとなります。私の知る限りの不具合情報と、その対策について、少しずつまとめていくつもりですので、困ったときにご覧いただけましたら幸いです。

プラグインのバグ

発想記号の非表示属性を感知しない問題

非表示と設定された発想記号であっても、スペースが確保される
図 1 非表示と設定された発想記号であっても、スペースが確保される

図 1 のように、発想記号が非表示となっている場合でも、非表示となっていない場合と同じように垂直位置を調節してしまいます。この問題のスマートな回避方法はありません。最初からこのようなデータを作らないように気をつけるしかありません。小節発想記号であっても、問題は同様です。

なぜスペースがこんなにあいてしまうのか、わかりにくい例
図 2 なぜスペースがこんなにあいてしまうのか、わかりにくい例

音符発想記号で、さらに元の音符が非表示になっている場合にも、この問題が発生します。例えば図 2 のケース。何が起こっているのか一見わかりませんが、非表示になっている音符に発想記号がついていて、その分のスペースを確保してしまっています。

非表示の音符に付属している発想記号はまったく表示されませんので、注意しないと見逃してしまいます。

繰り返し記号との相性

繰り返し表記のある場合に、そのままこのプラグインを適用すると、うまく垂直位置を調節できなくなる場合があります(図 1 参照)。どうやらこのプラグインは、繰り返し記号によって音符が隠れている場合でも、そこにト音記号で表記された楽譜があるものと仮定して、位置調整を行ってしまうようです(図 2 参照)。

そこで、パーカッション・マップと楽譜スタイルの設定を使用して、常に符頭が五線の中央に配置されるようにし、さらに符尾を表示しないようにして、この問題を回避します。以下に手順を示します。

  1. 「五線ツール」を選択します
  2. 「五線」メニューから「楽譜スタイルの定義」を選択し、「楽譜スタイル」ダイアログボックスを表示します
  3. 「使用可能なスタイル」から「08. 2小節の繰り返し表記」を選択します
  4. 「記譜スタイル」プルダウンメニューから「パーカッション」を選択します
  5. 「記譜スタイル」プルダウンメニューのすぐ右側にある「選択」ボタンを押し、「パーカッション・マップの選択」ダイアログボックスを表示します
  6. 「作成」ボタンを押し、「パーカッション・マップ作成」ダイアログボックスを開きます
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「フレーム編集」ダイアログボックス

「フレーム編集」ダイアログボックス
「フレーム編集」ダイアログボックス

「フレーム編集」ダイアログボックスは、Finale の便利なダイアログボックスの一つです。このダイアログボックスを使わなければ、実現できない機能もたくさんあります。以下のステップで、このダイアログボックスへアクセスできます。

  1. 「高速ステップ入力ツール」ボタンをクリックします。すると、画面の左上の小節が自動的に編集枠モードになります。
  2. 楽譜上の小節のない部分をクリックして、このモードを解除します。
  3. Ctrl を押しながら音符または休符の入力された小節を左クリックすると、「フレーム編集」ダイアログボックスが現れます。

上記の手順 2 番は、マニュアルに書かれていません。Macintosh 版では、この操作が不要なのかもしれません。

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未検証もしくは検証中の Finale のバグ

詳しい再発の条件などがよくわかっていない Finale のバグを集めてあります。

ボイス 2 に図形の発想記号を配置した小節を別の小節にコピーすると、図形の発想記号のプレイバックの「MIDI 反映図形の定義」の図形番号で指定された図形が消滅する。

ボイス 2 はいろいろ不安定な動作が多いように思います。